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潤滑剤を用いない金属加工(ドライ加工)

 「機械」と言うと「油まみれ」といったイメージがあります.これは,機械を動かすために潤滑剤が不可欠であると思われてきたからです.特に金属を加工して色んなモノを作るときには,工具が摩耗したり,材料が工具に焼き付いたりしやすく,潤滑剤は不可欠であるというのが常識でした.摩擦や摩耗を少なくするため,潤滑剤には各種の化学物質が入っていますが,これらは人体や環境に有害なものが多く,潤滑剤を使わないで,生産を行うことが求められるようになって来ました.
 最近,テフロン皮膜で覆って食材が焼き付かないようにした調理用の鍋などが家庭でも見られます.これと同じ様な発想で,金属を加工する工具の表面を,適当な皮膜で覆うと無潤滑で金属が加工できるものと期待されます.この研究では,工具にチタンの炭化物,窒化物,ダイヤモンド状の炭素など,非常に硬い材料で工具表面を被覆することにより加工される材料との摩擦を下げ,無潤滑加工を実現することを目指しています.
 図は,アルミニウムを200℃,無潤滑で加工するとき,工具用の超硬工具(WC:タングステンの炭化物をコバルトで結合したもの)とダイヤモンド状の炭素(DLC)で被覆した場合の摩擦係数の比較です.DLCで被覆すると40%以上の大変形でも摩擦が低く保たれています.こうした工具を鍛造などの金属の加工に応用するためには,まだ解決すべきテーマが多くあり,当研究室では,無潤滑加工に適した加工方法,材料などについて研究を続けています.

図 アルミニウムを200℃において平坦な工具で圧縮したときの摩擦係数
(WC:タングステンの炭化物をコバルトで結合した工具)
(DLC:ダイヤモンド状の炭素でできた工具)

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